• 豊かな暮らしってなんだろう?
     私にそう問いかけられたら、若い頃は違った応えになっていただろう。今では同じ方向を向いている妻と知り合い結婚して、3人の愉快な子供たちに囲まれ、私の両親と暮らす2世帯の住まいを手掛け、私と妻は緑に囲まれた我が家の一角で自分たちの好きな仕事をしている。そして、両親が好きでやっている畑から新鮮な野菜や子供が生まれるたびに植えた樹からもぎたての果実を朝の食卓に並べたり、時にはジャムを作ったりという暮らし。日々長閑な時間をすごし、こんな暮らしがとても気に入っている。
     私たちの暮らしで大きな要素である衣食住。その衣食住が素朴なものであること、そして、家族それぞれが好きなことをしていること、これが私の考える豊かな暮らし。
     衣食住の住という要素を生業としている私は、クライアントが考える豊かな暮らしと私が考える豊かな暮らしをお互いが気ままに話ながら、一緒に考えてかたちにしていきたいと思っています。
  • 素材へのこだわり
     わたしたちの暮らしの中で欠かすことができない衣食住。誰もが肌触りがいい、美味しい、気持ちがいい素朴な材料を使うのがいいと思うはずです。
     森林へ行くとなんとも気持ちいい気分になります。日々の暮らしの中でもそんな心地よさを感じられたらと思い、わたしたちは手触りや足触りがよい無垢材、調湿・消臭効果のある珪藻土、人体に影響が少ないホウ酸による木材の防腐防蟻処理、包まれているだけでうれしくなる羊毛断熱をよく使います。
     これらの素材を採用することによって、シックハウスや結露を防ぐことができ、カビの発生を抑制することができます。また、室内の温度のムラを少なくすることができ、住み手の健康維持や省エネにも効果があります。快適に暮らすために素材へのこだわりは欠かせません。
    自分の居場所
     杉・オーク・タモなどの木材、珪藻土、和紙など、素材が持っている本来の手触りや温かみを活かしたシンプルなデザイン。そして、家族ひとりひとりが心地よいと感じる居場所をつくり、そこから目にする緑、家族が寛ぐ姿、子どもたちが遊ぶ姿を眺められる。そんな居場所を想像しながら基本プランを考えていきます。
  • 小さく暮らす
     落ち着くなと感じる空間はどちらかというと狭い空間、無駄なものがなく整然としており、機能から生まれる美しさが感じられます。小さく暮らすことは日本人本来がもっていた美徳、小さなおうちに暮らすことは建築費や冷暖房費などのランニングコストが抑えられ、その抑えられるコストで素材や家具や調度品にこだわることができ、豊かに暮らすことができると思います。
    暮らしやすさ
     例えば、大きな買い物袋を持って我が家に帰る。玄関→シューズクローク→食品庫と歩き、買い物袋を降した後にキッチンへと続く動線。例えば、夕食後にリビングで寛いだあと浴室へ向かう。リビングに面したウォークインクローゼットで着替えを手にして隣の脱衣室へ。脱衣室には洗濯機があり、雨の日のための室内干しのスペースを設ける。
     暮らしやすさは人によって様々。どのように暮らしたいかを将来の暮らしぶりの変化も想像しながら話し合う。時には雑談から設計のヒントを得たりすることもあります。住まいづくりはクライアントにとっても、わたしたちにとってもワクワク楽しい作業。楽しく話しができれば、きっといい住まいができるはずです。
  • 緑をとりこむ
     閉ざされた空間に長くいると息苦しさを感じてしまいます。外とつながり緑を目にすることができる住まいは、それが小さなおうちだとしても“抜け”があり、狭く感じることもなく、なんともいえない心地よさを感じます。
     景色のよい場所があれば内から眺められるように設計し、ときにはお隣の庭の緑も拝借することもあります。
     住宅街などでそれが不可能な場合はプライベートな庭をつくりたいと思っています。
  • 自然エネルギーを活かした住まい
     ソーラーシステム(そよ風)は太陽熱や夜間の放射冷却など自然のエネルギーを利用して室内に快適な温熱環境を生み出すシステムです。冬は日中の太陽熱を利用して屋根面で暖かい空気をつくります。また夏は夜間の放射冷却を利用して屋根面で涼しい空気をつくります。つくられた暖かい空気や涼しい空気はファンで床下に送られ、基礎の土間コンクリートに蓄熱・蓄冷されます。さらに床下に送られた空気は床吹出口を通じて室内に取り込まれ、室内全体を一日通して快適な温度に保ちます。パッシブハウスに興味ある方はそよ風の住まいをお勧めします。
    耐震性の確認
     木造二階建て住宅などの建物は四号建築と呼ばれ、建築確認申請で構造計算が義務づけられていません。建築基準法では二つの方法で耐震性などの構造耐力を確認するよう求めています。一つは床面積に応じて一定以上の耐力壁を設けるという四分割法による壁量計算という方法で、もう一つは構造計算という方法です。
     壁量の基準を満たした建物を構造計算すると20~40%くらい耐力が不足しているといわれています。そのため、当社では全ての住まいについて構造計算を行います。
  • 長期優良住宅、ゼロエネ住宅
     世代を超えて住み継いでいける住宅ストック社会の形成ために始まった長期優良住宅制度。長期優良住宅の普及の促進のため、構造躯体等の劣化対策、耐震性、可変性、維持管理・更新の容易性、高齢者等対策、省エネルギー対策、一定以上の住宅規模、及び良好な景観の形成への配慮等を定められています。
     ゼロエネ住宅は、高断熱による20%以上の省エネと、太陽光発電等の自家発電設備による80%以上の創エネで、実質的に消費エネルギーをゼロに抑える住宅。このような住宅は品質がよく省エネ、また快適に健康に暮らせる住宅であることに加えて、税制上、補助金などの優遇もあります。
     長期優良住宅やゼロエネ住宅を採用するかはクライアントの考え方や予算によるため採用されない住まいもありますが、当社が手掛ける住まいは長期優良住宅の構造躯体等の劣化対策、省エネルギー対策をベースに設計しています。
    リノベーション
     ストックされている住まいを有効利用するということはとてもいいことだと思います。しかし、コストメリットを重視した場合のリノベーションはその住まいの状態や耐震性に問題ないかを十分検討する必要があると思います。特に中古住宅を購入してリノベーションを考えられている場合は購入前に相談していただければと思います。
© denworks by 住まいる空間 ALL RIGHTS RESERVED